研究内容

ここでは、当研究室で現在行っている研究内容を紹介します。

1.ネギ属バイオリーソースを用いたオミクス統合解析のタマネギ育種への応用

 タマネギ(Allium cepa L. Common group)の年間生産量は世界第15 位(2011 年・約8 千6 百万トン)となり,野菜の中ではトマト,スイカに次いで生産量が多い(FAOSTAT 2011).タマネギを人類が栽培した歴史は古く,紀元前23 世紀のエジプトまで遡ることができ,ピラミッド建設に従事した労働者の食生活改善に貢献した.この様にタマネギは,‘先住民の伝統的な知恵’から健康食材と信じられており,このことは今日の医科学分野での基礎研究や広範な臨床研究においても立証されている.本研究では,機能性代謝物の宝庫‘タマネギ’ の化学内容成分群(含硫化合物,フラボノイド類,サポニン類等)に着目し,染色体変異系統や交雑集団からなるネギ属バイオリソースのオミクス統合解析により複雑な代謝系やその遺伝系を紐解きながら,持続可能な農業生産に寄与する健康機能性と植物病害抵抗性を併せもつタマネギ育種素材の獲得を目指す.

 

2.新規植物育成技術「Shigyo法」の原理解明:赤青の交互照射に対する植物の応答

 農業分野における技術革新として、光や温度、栄養分などを厳密に制御可能な植物工場が注目されている。我々は、植物工場における光源として利用が広がりつつある赤色LED と青色LEDを用い、両者の交互照射により植物の育成を爆発的に高める新規植物育成法「Shigyo 法」を発見した。Shigyo 法は簡単な方法で植物の生育を早められるため実用化が先行しているが、その原理の解明が待たれていた。本研究では、植物の光応答に着目し、シロイヌナズナ及びリーフレタスを材料として、赤/青交互照射条件下における赤色光受容体、及び青色光受容体の挙動とそのシグナル経路の変化を明らかにする。本研究は植物工場という社会的に関心の高い課題を扱うだけでなく、植物の光応答という科学的に重要な課題に新たな光を当てる挑戦的な研究である。

 

3.ジャパンブランドユリの短期球根生産を実現する球根貯蔵糖の可給態化と休眠打破の関係解明

 山口県が育成した小輪系ユリ「プチシリーズ」は市場評価が高く早期生産拡大が望まれている。そこで、短期球根生産技術の確立に向け、山口県農林総合技術センターでは、早生品種「プチソレイユ」について、山口県の秋の温暖な気候を利用し、9ヵ月間という短期間で切り花用球根を生産できることを明らかにした。また、山口大学では、同品種の球根の貯蔵糖ついて解析を行い、球根の冷蔵処理により貯蔵糖が可給態化することを明らかにした。本研究では、本技術の実用性を高めるために、早晩性の異なる各品種別のりん片子球の糖動態と休眠打破の関係を明らかにするとともに、晩生品種についても、本技術に適応できるりん片子球生産技術を開発する。


インフォメーション

アクセス

〒753-8511
山口市吉田1677-1
山口大学農学部

Full publication list by Researcher ID:
Professor
Dr. Masayoshi Shigyo